ギタリストもそうじゃない人も、アンプシミュレーターの導入を考えている人は多いと思います。
エレキギターって、場合によってはアンプの方がギター本体よりも重要だったりするので、アンシミュ選びは出音に直結してきます。
10年位DTM&ギターをやる中でいろいろなアンシミュを使ってきたので、その経験も踏まえて、4つのアンシミュを紹介していきます。
※この記事ではソフト(プラグイン)だけ紹介します。ハードをお探しの方はもうしわけありません・・・。
Bias (Positive Grid)
現状では最強
「まとめ記事」を書いておいてなんですが、正直なところ、現状ではBias以外の選択肢はないと思います。
とにかく音の良さ・リアルさは他のアンシミュを完全に圧倒しています。
アンプにこだわりのあるギタリストほどオススメ
ギタリストにもいろんなタイプがいますが、特に「真空管アンプ大好き」みたいなちょっと音質オタク系の人に一番使ってほしいです。
なぜなら「手軽に良い音」というよりも、実際のアンプに近い音質・挙動を再現しているからです。例えば本物のマーシャルは「ゲインを下げるほどローが削れる」ような挙動のものが多いですが、Biasもかなり似た変化をします。
ピッキングの強弱に対する反応もかなり生々しいので、クランチサウンドでの表現力がすごく豊かです。ここは他のシミュレーターと一線を画しています。今までのライン録音のテンションは常に「まあ・・・こんなもんか」という低空飛行でしたが、Biasを導入後の録音は常にハイテンションです。
知識がないと使いづらいかも
しかし、あまりギターやアンプに詳しくない・興味ない人には使いにくいかもしれません。
アンシミュを買う人がすべてギタリストというわけではなく、人によっては「打ち込みギターに通す」とか「単なるエフェクトとして通す」場合もあると思います。
そういう人がギターアンプのツマミの意味をググって「なるほど、Gainで歪み量を調節するのね」と理解したとします。でもBiasは実機の挙動を正確に再現してしまうので、「なんでGainを上げてるだけなのにローが削れるんだよ!!」となってしまうわけです。
値段が安い
「そんなに良い音なら、さぞかし値段も高いんでしょう?」なんていう声も聞こえてきそうです。
答えはNOです。
エディションやセールの有無にもよりますが、最低でも1万円あれば買えます。
音の悪いハードのシミュレータに数万払うより、Biasに投資した方がよっぽど費用対効果が高いです。ハードにはありえない「アップグレード価格」というものも存在するので、新しいバージョンが出てもお得に買うことができますしね。
CPU負荷がそれなりに高い
これだけ音が良いので、やはりCPU負荷はある程度高いです。
ちょっとしたエフェクト程度の用途にはオーバースペックの感があるので、音質を求めない人は後で紹介する「Guitar Rig」か「GTR」の方がいいと思います。
複数あるエディションがわかりづらい
Biasシリーズは3つ存在します。
- Bias Amp: アンプシミュレータのみ
- Bias FX: アンプ+エフェクター
- Bias Pedal: エフェクターのみ
Bias Ampがアンプに専門特化したエディションで、ここで細かくカスタマイズしたアンプをBias FXで読み込んで使うことができます。
「細かくカスタマイズ」というのは電子回路レベルの話です。その名のとおり真空管のバイアス調整まで行えるというオタク仕様です。
ただ、FXでもEQやゲイン・ボリュームなどのツマミは触ることができます。なのでよっぽどのアンプ・オタクでなければFXを買ったほうがコスパが高いと思います。
購入方法
最近のプラグインは購入先も複数あってわかりにくいので、ここで紹介しておきます。
Biasに関しては、PluginBoutiqueで買うのが一番トクだと思います。
基本的に公式サイトと同じ値段ですが、約500円+音素材と交換できるポイントが付いてきます。
Biasを1個買うだけで数千円のサンプルやプリセットパックが手に入ります。
海外サイトでの購入に不安のある人はPayPalを使うといいと思います。
PayPalについてはこの記事に詳しく書きました。
一番手軽なのはamazonかサウンドハウスです。
いつもの買い物と同じように買えます。
英語は見るのもイヤとか、クレカやpaypalの支払いが不安といういう人はamazonでもいいでしょう。
ただ、すこし割高なのが難点です。
公式サイトでも買えます。
特にプラスα要素はないですが、安心感は一番ありますね。
公式セール時にも必ず対応しています。
Amplitube (IK Multimedia)
音質はBiasに劣る
以前は「音質にこだわるならAmplitube」とよく言われていました。
しかし、現在ではBiasにそのポストを奪われてしまった感があります。
「アンシミュくさい」といわれがちな「コンプ感」や「音の遠さ」がどうしても気になります。僕的には「Amplitube Fender」が出た頃は「革命的!」とさえ思ったものですが、Biasと比べるとやっぱり安っぽい・・・。
Amplitubeの音: マルチエフェクターのアンシミュ + エフェクターで作った音
音の違いのイメージはこんな感じです。(もちろんBiasの音が生アンプと同等というわけではありません)
ただ、曲によってはAmplitubeの「チープ」な音の方がなじませやすいかもしれません。Biasはかなり生っぽい音なので、曲に必要のない帯域までしっかり出てしまいます。
ギター演奏に自信のない人も、もしかしたらAmplitubeの方が弾きやすいと感じるかもしれません。Biasは表現力が豊かなぶん、ちょっとした演奏ムラにも敏感に反応してしまいます。Amplitubeなら多少雑に弾いてもそこまで影響はありません。
モデリングが多い・元ネタに忠実
Amplitubeは「Custom Shop」というソフトを使って、アンプやエフェクターを機種単位で購入することができます。
しかも最近は、アンプやエフェクターブランド公認で、「機種名そのまま」のモデリングもたくさん配信しています。
例えばFenderだったら「’65 Deluxe Reverb」というそのまんまのモデルなんかもあります。
Biasも特定の機種も参考にしているのは明らかですが、そこまで厳密にコピーしているわけではありません。(例えばJC-120でもディストーションスイッチが付いていなかったりします)
他にもOrangeやSoldanoなどのブランド、Slashやジミヘンなどのアーティストシリーズなど、「あの音」が欲しい人には嬉しいアンプパックもあります。
CPU負荷が低いわけじゃない
ちゃんと計測したわけではないですが、体感的にBiasとあまり変わらないくらい重いです。
軽さを重視する人はGuitar RigかGTRにしましょう。
購入方法
最近はamazonやサウンドハウスでは取り扱っていないようです。
IK Multimedia公式サイトがほぼ唯一のショップだと思います。
Guitar Rig (Native Instruments)
本格的な音質ではない
BiasとAmplitubeは「本格的」とか「リアル」といえる音が鳴りますが、Guitar Rigは完全に「シミュレーター」として割り切った方がいいです。
もちろんシミュレーターだから悪いというわけではなく、曲によってはレンジの狭い音が合う場合もあります。
しかし、「Guitar Rigの音が好きだから、(Biasではなく)Guitar Rigを買おう」と思う人はほぼいないと思います・・・。
Kompleteの一部として買おう
音のわりに値段は高く、26,800円(2021年現在)もします。
これはさすがに高すぎるので、もし興味があるのなら、単体ではなくKompleteバンドルを買うことを検討したほうがいいと思います。72,400円(2021年現在)と高額ですが、Guitar Rigに加えて大量の音源・エフェクトプラグインが手に入ります。
購入方法
Native Instruments公式サイトで購入できます。
GTR (Waves)
Guitar Rigと似たような立ち位置
「本格的な音質じゃない」ですし「単体で買うと損」です。
値段はGuitar Rigほど高くないですが、わざわざ買う価値があるかというと・・・微妙です。Wavesにはバンドルがたくさんあるので、GTRもその一部として手に入れたほうが数倍得です。
「Waves Gold」か、できれば「Waves Platinum」以上のバンドルがあれば、ギターだけでなく一通りミックス用エフェクトが揃います。
ギターにこだわりたいならBiasを、他のエフェクトもグレードアップしたいならWavesバンドルを、という選び方がオススメです。
購入方法
例によってamazonかサウンドハウスが一番手っ取り早いし、安いはずです。
もちろんWaves公式サイトでもOK。
まとめ
音質にこだわるなら、基本的にはBiasが最強です。
他に重視する要素があるなら他のプラグインを、という感じですね。
あと、いま使っているインターフェイスがあまりにも安すぎる場合、どうしてもノイズが入りやすかったりします。
(1万円くらいのやつを使っていたとき、レスポールのリアがどうしてもクリップしてしまっていました)
「音質」という意味では大差ないかもしれませんが、ある程度クリアに録りたければ入力装置もアップグレードしたほうがいいかもしれないですね。