ボカロの流行もあってか、楽器未経験の人がいきなり
「よし作曲しよう!」
と曲作りを始めることが増えたように思います。
「楽器・作曲を一切やったことのない人」でも、この記事の6つのステップを踏めば「とりあえず1曲」作れるようになるはずです!
ちなみに筆者はこういう曲が作れる人です。
楽器・作曲未経験の人へ
作曲は「すごい人たち」のもの?
作曲は「才能豊かな」「芸術家」にしかできないと思っていませんか?
これは大きな間違いです。
もちろんジョン・レノンや宇多田ヒカルなんかが天才であることは間違いありませんし、世界中・日本中にファンを作ることができるのは一部の人だけです。
でも、音楽で表現をするということ自体は特別な能力ではなく、訓練で身につくものです。
例えるなら文章を書くようなものです。
ベストセラーを出版できるのは一部の作家だけですが、多くの人も普段から書類やレポートを書きながら生活しています。
ただ、大抵の人が文章を書く力を持っているのも教育を受けているからですし、その中でも良い文章を書ける人は、たぶん普段から本をたくさん読んでいる人でしょう。
多くの人が作曲できないししたこともない理由は、作曲が特殊能力だからではなく、日常生活で使う必要がないからです。
作曲には経験と訓練が必要
逆に言えば経験は必須ということです。
でも、「音楽経験がゼロ」という人はおそらくこの世にいません。
曲を作ろうとしているということは、たぶん普段からある程度音楽を聞いていますよね?
Youtubeで曲単位で聞いているだけでも立派な音楽経験ですし、ニコニコのMADだって最先端の音楽です。ゲームのBGMや音ゲーが好きならかなり強みになります。
ただ、楽器未経験の人がいきなり曲を作り始めるのはちょっと無謀だと思います。
そこで、いくつかのステップを踏んで無理なく、まず1曲を作ることを目指しましょう。
ステップ1:50曲を「真剣に」聴いてみる
「聴くんじゃなくて作りたいんだけど・・・」
焦る気持ちは分かりますが、作曲は「無から有を生み出す」作業ではありません。まずは人の曲を参考にしましょう。
好きな曲でも嫌いな曲でも何でもいいです。Youtubeの関連動画を流しっぱなしにするだけでも構いません。
とにかく50曲、他のことを一切せずに集中して聴いてください。
連続50曲は大変なので、何回かに分けても大丈夫です。できればイヤフォンやヘッドフォンの方が細かい音も聴けるのでオススメです。
もちろん50曲聴き終わったからといってどうということはありません。
でも、それだけ聴くといくつか新しい発見もあったのではないでしょうか?
- 「この曲とあの曲は似てるな」
- 「邦楽と洋楽はやっぱり何か違うな」
- 「よく聴くと色んな音がバックで鳴ってるな」
- 「こういう展開さっきも聴いたな」
こういった点に気づいた時点で、あなたは音楽的に成長しています。
作曲に必要なのは「こういう曲にはこういうお約束がある」というテンプレートを覚えることです。
「作曲は才能がなくてもできる」というのはそういう意味です。
ステップ2:楽器を手に入れる
曲をたくさん聴いた後は、そのインプットをアウトプットしましょう。
・・・でも、楽器がないとアウトプットのしようがありません。
歌だけで作曲というのも全然アリなのですが、それができるなら、もうかなりの上級者という感じです。
作曲をする上で、楽器は単純に便利です。
楽譜やコード譜をなぞるだけでプロのワザを簡単に「再現」できるからです。
「楽器が弾きたいんじゃなくて作曲がしたいんだ!」
という人もいるかもしれませんが、少しくらいは楽器が弾けた方が効率的に作曲できます。
おすすめはギターかキーボードのような、コード(和音)を出せる楽器です。そこまで高いものを買う必要は全然ありません。
Playtechのギターだったら8000円で買えますし、ただの作曲用途だったら十分だと思います。
「DTMは?」という声もあるかと思います。
私の個人的な意見としては、DTM志向でも楽器の練習をするべきです。
でも確かに、「楽器が弾けない自分でもDTMソフトがあったから作曲できた」なんていう声もちょくちょく耳にします。
そのあたりは人それぞれだと思うので、生演奏がどうしても嫌だ(できない)という人は打ち込みでも大丈夫です。
ステップ3:5曲コピーする
楽器を買ったのですぐにでも作曲したいと思います。
・・・でもあなたはまだ何も弾けないです。
それに、曲を聴いただけでは、まだ「雰囲気」しか学べていないはずです。
やるべきことは曲の「コピー」、すなわち「その曲を弾けるようにする」ことです。
コードだけ弾ければいい
目標はとりあえず5曲です。
コピーと言っても、音源どおりに完璧に弾く必要は全然ありません。
作曲のために必要なのは、まずは色々な「コード進行」に触れることです。
一般的に、曲は「コード(和音)」を変化させながら進んでいきます。
お辞儀のときの「ちゃ~ん・ちゃ~ん・ちゃ~ん」ってありますよね。
これはコード進行で表現すると「C・G・C」になります。
「C」は「ド・ミ・ソ」
「G」は「ソ・シ・レ」
という意味です。
ギター、ピアノ、ベースなど、曲中にはたくさんの楽器が使われています。
しかし、すべての楽器が「C・G・C」などの流れに沿った音を出しているので調和しているのです。
コードはメロディーと同じくらい重要な、「曲のコア」になる要素です。
メロディは鼻歌で何とかなりますが、コード進行を作るには多少「訓練」が必要になります。
ですので、ぜひコピーをして感覚を覚えてください。
U-FRETのようなサイトを使えば、無料で歌詞とコード進行を調べることができます。
楽器の教則本に載っている練習曲を全てやる必要はありません。
最低限の知識がついたら、さっそく好きな曲のコード進行を調べて練習してみましょう。
楽器の上達は人によってそれぞれ
まず最初の1曲を弾けるようになるまでに結構時間がかかると思います。
でも、すぐ弾けるようになったから音楽の才能があるというわけではありません。
逆になかなか弾けなくても問題ありません。
時間がかかっても、最初はあせらずじっくり練習しましょう。
ステップ4:音楽理論を知る
5曲コピーできましたか?
それだけ弾けるようになると、「早く自分の曲を作りたい!」と思うかもしれません。
でもちょっと待ってください。
曲を手軽に作るには「音楽理論」を少し知っておくと便利です。
音楽理論は「ヒント」
理論と聞くと嫌になる人も多いと思います。
でも、最初の1曲を作るために必要な知識はほんの少しだけです。
それに、そもそも音楽理論は「アレをするな、コレをするな」ばかりではありません。
むしろ「こういう時はこうした方がカッコよくなるよ!」とアドバイスしてくれるものだと思った方がいいです。
必要な理論はこれだけ!
最初の1曲を作るために必要な理論は「ダイアトニックコード」だけです。
表なんて出されると「うっ・・・」と思うかもしれませんが、大したことありません。
この表の横の行が1セットです。
例えば一番左上の「C」から始まる行なら、
「C, Dm, Em, F, G, Am, Bm(♭5)」
だけを使って作曲することを
「ダイアトニックコードだけで作曲する」と言います。
実際に音を鳴らして見ると分かりますが、この7個だけ使えば十分に曲が作れます。
(右端の「m(♭5)」のコードはちょっと特殊なので使いづらいかもしれません。)
コピーした曲を理論で分析
コピーした曲のコード進行と上の表を比べてみてください。
大抵の曲は、どこかの行にある程度当てはまっていると思います。
(もし違ったら、あなたは結構変わった曲ばかり選んだことになります)
つまり、音楽理論は良い曲を作るためのかなり「実践的」な理論なのです。
ちなみに、この表を暗記する必要は全くありません!
実際に作曲する際はぜひこの表を見ながら作ってみてください。
『ギターで覚える音楽理論』という本はかなりオススメです。理論を「丸暗記」するのではなく、「なぜその和音が気持ちいいのか」ということまで噛み砕いて説明してくれます。
ステップ5:インターネットを遮断する
ここまでたどり着けた方はハッキリ言ってかなりの努力家です。
80%くらいの人はどこかで諦めていると思います。自信と誇りを持ってください。
あなたにはすでに1曲作るだけの力が備わっているはずです。なので、余計な情報はこれ以上入れないようにしましょう。
余計というのは主にインターネットのことです。
曲はそんなにすらすらと作れるものではありません。なので、ついついスマホやパソコンに手が伸びてしまいます。
ただの面倒なタスクをこなすだけだったら、合間にtwitterを入れてもちょうどいい息抜きかもしれません。
でも、作曲にはインスピレーションが大切です。せめて1時間、俗世とのつながりを断って精神世界へ没入するべきだと思います。
ステップ6:曲を作る
基本はコード進行から作る
いよいよ曲を作りましょう。
曲の要素として、「メロディ・コード進行・歌詞」があります。
3つの内のどれから手をつけても構いませんし、3つを同時進行しても大丈夫です。
「歌詞から作ったほうがイメージが湧く」「メロディを作るのが一番カンタン!」という人はぜひそれで進めてください。
しかしコード進行から作り始めるのが普通は一番やりやすいと思います。
コード進行に合うメロディをつけるのは比較的カンタンですが、メロディに合うコードを見つけるのは初心者には難しいかもしれません。
「どの部分を作るのも難しい・・・」という人は無難にコード進行から作るのをオススメします。
コード進行は「パクリ」もアリ
コード進行の「パクリ」は盗作ではありません。
5曲もコピーすれば、その中にほとんど同じ進行の曲もあったのではないでしょうか?
イメージ通りの進行なら、既存曲から借用しましょう。
始めのうちは、作曲中に「○○っぽい進行」がふいに出てきてしまうと、「これじゃパクリだ!!」と捨てていました。
でも少し経つと、この世に似たような曲がゴマンとあることに気づき、「パクリ」とは微塵も思わなくなりました。
録音はしないほうがいい
私は、楽器を演奏しながら作曲することをオススメしています。つまり、ある程度完成するまでは録音しないということです。
そのことについてはリンク先に詳しく書いています。
もちろん、打ち込み以外やりたくないという人はそれで全く問題はありません。
行き詰まったら「今日はここまで」
1日で1曲作りあげる必要は全くありません。
私はメロディとコードだけのために1週間くらい時間をかけるのが好きです。適度に時間をおいて、ゆったりと雰囲気に浸って作った方が良い曲ができる、と私は思います。
あまりかじりついてもオーバーヒートするだけです。どうしても速く作る必要がある、という場合も、散歩やお茶で息抜きした方がいいですよ。
まとめ
どうでしょう? 1曲できましたか?
できなかった、あるいはできてもクソみたいな曲だったでしょうか?
安心してください。最初はそんなものです。
私は10年くらい作曲していますが、やっぱり初めのうちは(今も?)クソ曲しかできませんでしたよ。
でも続けていけばボチボチできるようになるはずなので、あせらず作り続けるしかないと思います。