打ち込み臭いドラムは「アクセント」でリアルになる【6つのテクニック】

drums 作曲

ドラムの打ち込みって結構難しくて、なんとなく打ち込んでも「打ち込み臭く」なっちゃったりしますよね・・・。

特にフィルインは悩みのタネで、スネアだけ工夫なしに打ち込んだりすると、こんな感じの「マシンガン」になりがちです。

「フィルインではタムを使えばいいよ!」と言われてその通りに打ち込んでみても、なんかダサかったりします。

なぜ「打ち込み臭い」ドラムになってしまうかと言うと、その原因はアクセントがついていないからです

人間が演奏すれば嫌でも音にムラ(アクセント)が出ますが、打ち込みでは意識的に強調しないと「のっぺり」とした演奏になってしまうんですね。

そこで、この記事では「どうすれば打ち込み音源を生っぽく=アクセントをつけて鳴らすことができるか」を具体的なテクニックとして紹介します。

基本的にはフィルイン(AメロとBメロのつなぎなんかに入る「ドドタン」的なやつですね)について解説します。

ドラムの演奏がかっこいいアルバムを紹介した記事
音質のいいアルバムを紹介した記事
この辺りも参考にしてください

最近の高音質ドラム音源(BFD3やAD2, SD2など)はそこまで頑張らなくても「生っぽい」ドラムトラックにしてくれます。
ただ全ての人が値の張る音源を持っているわけではないと思うので、この記事ではKONTAKT付属の「ボチボチ」なドラムキットを使っています。

打ち込みドラムが苦手なフレーズ

具体的なテクニックを紹介する前に、まずは打ち込みドラムの傾向と特徴を抑えておきましょう。

「生っぽいドラムにはアクセントが不可欠」という前提を考えると、打ち込みドラムは次のようなフレーズが「苦手」という事実が浮かんできます。

打ち込みドラムの苦手なフレーズ

  • 連打
  • 長い
  • シンプル

連打

高いドラム音源だと「連打」の際に自動的に鳴らす音を変えてくれる機能もあったりしますが、それにも限界があります。

同じパーツ(スネア、タムなど)を連続で鳴らす際には工夫をする必要があります。

長いフレーズ

フィルインは「フィルインが入るだけでアクセント」になります。

しかし、フィルイン自体が長すぎると、その中で上手くアクセントをつけないと途端に打ち込みっぽく聞こえてしまいます。

慣れないうちは「1小節まるごとフィル」というのはハードルが高いと思います。

シンプルなフレーズ

打ち込みドラムは生演奏と比べると比べるとどうしても音に「パワー」がないです。

つまり、生ドラムは少ない音数でも「それっぽく」聞かせることが(上手い人なら)可能ですが、打ち込みだとやりづらいということです。

なので、あまり単純過ぎるフレーズよりも、少し複雑なフィルインで「ごまかす」必要があります。

つまり?

「同じパーツ(スネア、タムなど)の連打をあまりしない、長すぎず、少し複雑なフレーズ」

こういうフィルインが、打ち込みドラムでは「それっぽく」聞こえやすいということです。

それでは、実際にどうすれば打ち込みドラムにアクセントを付けられるか、解説していきます。

フィルにアクセントを付ける方法

ベロシティの調整

ableton, velocity

ベロシティというのは、MIDIノート1つ1つに付いているパラメータで、基本的には「音量」だと思っておけば大丈夫です。

上の画像はableton liveのエディタ画面で、下部の赤い線がベロシティを表しています。

ベロシティ調整前

ベロシティ調整後

どうでしょう?

調整前は「音の羅列」だったのが、調整後は「音楽っぽい」感じになっていませんか?

調整前は「タタタタタタタタ」
調整後は「タタンタタンタタ」

こんな感じに聞こえたと思います。

よく見るとどちらも「タ」と「ン」を合計した数は同じですよね?

私が行った調整は、「タ」が「ン」に聞こえるように、ベロシティを下げて音を小さくしただけです。

逆にいうと、「タ」にアクセントを付けたということです。

fixed velocity
vary velocity

この程度のことでかなり「打ち込みっぽさ」が軽減されていると思います。

他にもテクニックを紹介していきますが、ベロシティは常に意識して調整しましょう。

奏法の使い分け

しかし、ベロシティの調整だけでは表現力に限界を感じることもあります。

そういうときに、同じスネアでも別の奏法を取り入れると演奏と幅が広がります。

私がよく使うのは「リムショット」と呼ばれる奏法です。

動画でもスネア1台で演奏していますが、叩き方を工夫しているので表現力が豊かですね。

さっきまでは全て「D1」の普通のスネアサウンドだけ使っていましたが、上の画像では「D#1」と「E1」も使っています。

「D#1」がリムショットです。
「E1」は普通のスネアサウンドですが、「D1」とは微妙に違う音になっているので、連打する際は使いわけることで「人間っぽさ」を出せます。

この辺りは音源によって差がありますが、もしいろんな奏法がサポートされているなら是非使ってみましょう。

オープンハイハット

ハイハットとは、下の画像の右側にある「二枚重ねのシンバル」です。

絵には描いてありませんが、本当は足元にペダルがついていて「開閉」することができます。

閉じているときは「チッチッ」という短い音ですが、踏み込みを緩めると「シャーシャー」という長い音になります。

では、ハイハットオープンをフィルインに取り入れてみましょう。

どっかで聞いたことある感じじゃないですか?

黄色い囲みの中の、上のノートがオープン、下のノートがクローズを表しています。

open hi hat, notes

注意点としては、開いたハイハットは閉じないと鳴り続けるということです。

しかし逆に言えば、「シャー」の音の長さはある程度自由にコントロールできるわけですね。

私のデモ音源では割とすぐに閉じているので、アクセントとして「鮮烈」な印象を与えると思います。

ちなみに、ハイハットをフィルの中で使うときは、基本的にスネアかキックと一緒に鳴らした方が良いです。
これはシンバルも同じです。(Garagebandのドラムも、シンバルをタップするとキックが同時に鳴るようになっています。)
ハイハット単体で鳴らすとこんなふうに間の抜けた感じになります。

三連符

8th note
triplet note

キックとスネアが「ドン・タン・ドン・タン」となっているとします。

8分音符は「チチ・チチ・チチ・チチ」と鳴ります(ハイハットだと思ってください)。
3連符は「チチチ・チチチ・チチチ・チチチ」と鳴ります。

リズムというのは基本的に偶数の方が「しっくり」きやすいんですが、逆にいうと奇数である三連符は「アクセント」としてリスナーの耳を引きつける力があります。

フィルインに3連符を取り入れた演奏です。

triplet

ここぞというときに使うとかっこいいんですが、あんまり多用すると曲の流れを妨害してしまいます。
何度も使うと「またこれか」と飽きられるので、たまに使うくらいにしたほうがいいですよ。

ちなみにLed Zeppelinの「Good Times Bad Times」という曲では、「3連符の頭抜き」という特徴的なフレーズを多用しています(しかもキック・・・)。

good times bad times

フラム

フラムというのは、ざっくりいうと「両手でほとんど同時に、でも微妙にタイミングをずらして叩くこと」です。

実際の曲ではこんなふうに使われています。

鳴らすタイミングをずらすことで、このように厚みのある(=アクセントのついた)音を出すことができます。

スネアだけじゃなく、タムでやっても独特の効果が出ますね。

打ち込み方は、単純に少しずらせばOKです。
ただ、タイミングは早めるのではなく、遅らせた方がそれっぽくなります。

フラムという表現は正式にはちょっと間違ってる気もしますが、ポップスでは正式名称がなさそうなのでフラムと書きました。

余白・空白

これまでは、どうやって「音を鳴らすか」というテクニックを紹介してきました。

しかし「音を鳴らさない」というのも、アクセントをつける上ではすごく効果的です

このフレーズでは、オープンハイハットでアクセントをつけつつ、そのすぐ後に音を止めることで「急 → 緩」を表現しています。

音数の多い曲ほど、余白・空白は印象的になります。

コード進行も同じですが、音楽は「不安 → 解決」「静 → 動」のような「動き」がないと単調でつまらないものになりがちです。

「音を鳴らす」ことばかり考えて行き詰まったときは、逆に「音を減らす」アプローチが上手くいくかもしれません。

まとめ

この記事では、ドラムフレーズの「アクセント」のつけ方を紹介しました。

最近のドラム音源は高性能なので、昔ほど細かいベロシティやタイミングの調整は重要ではなくなってきている気がします。

ですので、ある程度「良い」ドラム音源を使用している場合は、細かい処理に執着するよりもフレーズの作り方を工夫したほうが近道のはずです。

私は普段はBFD3という「良い」音源を使っています。
しかし今回ちょっとチープなドラム音源に改めて触れてみて、「めんどくさいな」と感じました。
なぜなら、普段はBFDが自動で処理していたところを、自分が手動で編集しないといけないからです。