「音楽製作ならMacしかない!」
これは全く正しくありません。
今どきWindowsでもDTMはいくらでもできますし、Macを選ぶ絶対的なメリットなんて存在しません。
しかし、いまだにクリエイターのMac率はそれなりに高く、Macにいくつもの利点があることも事実です。
この記事では、DTMマシンとしてMacを使うメリットとデメリットを合計12個挙げていきます。
Macを選ぶメリット
インターフェイスがなくてもレイテンシ(遅延)が少ない
MacはOSの段階で音楽制作が考慮されているためオーディオインターフェイスやAsio4Allを使わなくても音が遅延しません。
(※初心者の方へ: オーディオインターフェイスというのは下のような機械で、マイクやギター、スピーカーなんかを接続するやつです)
そのため、MacBookだけ持っていけば、出先でちょっとした音の確認なんかは簡単にできます。
(AppleがMacBook Proからもヘッドフォン端子を無くさないよう切に願います・・・)
GarageBandが付属
DAWを持っていない完全初心者でも、とりあえずMacさえ買えばGarageBandでDTMができます。
つまり、Mac+ヘッドフォンですぐにでも音楽制作が始められます。
GarageBandを開いて適当なインストゥルメントを選択すればすぐに音が出ます。
逆に、Windowsは「まず音を出す」までがかなり面倒くさくてストレスです。
- オーディオインターフェイスを買う or Asio4Allをインストール
- DAWを選ぶ&インストール
- DAWとオーディオデバイスの設定をする
- (上の3つが上手く行けば)音が出る
ミュージシャンが「パソコン博士」である必要はありません。
めんどくさい技術的な知識がなくても使えるのはありがたいですよね。
Logic Proが使える
とはいえ、GarageBandは本格的なDTM用途には厳しいでしょう。
そこでいわゆるDAW(DTM用ソフト)を購入することになるのですが、
MacならLogic Proを使うことができます。
(Windowsには非対応)
世界中のトッププロが使っているソフトにも関わらず、値段はたったの24,000円です。
DAWの比較や選ぶ際の注意点は以下の記事が参考になると思います。
プロにもよく使われている
Macはプロ用途としても非常によく使われています。
例えば、レコーディングスタジオなどに行くと、置いてあるマシンがMacのことも多いです。
ということは、腕が上がって外でも活動するようになると、Macを触らないといけなくなることも出てくるということです。
私は以前はWindowsユーザだったんですが、いきなりスタジオで常設のMacを使う機会があり、かなり戸惑いました。
もちろんWindowsにも利点はたくさんあります。
でも、Macに慣れないと困る場面が出てくる可能性は十分あります。
Windowsアップデートがない
Macなんだから「Windows」アップデートがないのは当然ですが・・・。
もうWindowsアップデートにはうんざりという人も多いと思います。
「これには数分かかります」とか言われても、「どれだよ!!!」って感じです。
せっかくの創作意欲を欠くような余計な邪魔は、Macはしません。
PC選びに時間がかからない
思考停止できるのは大きな長所です。
Windowsの利点は選択肢が多いことですが、選ぶのは面倒くさいし時間がかかります。
Macは選べる機種もカスタマイズも限定されていますが、逆に言えば選ぶのは楽です。
「パソコンの細かい知識なんて覚えるの面倒だよ」という方はMacを買っておけば間違いがないでしょう。
DTM用パソコンの選び方に悩んでいる方は以下の記事が参考になるかもしれません。
プラグインの管理が楽
Windowsはプラグインごとにインストール先がバラバラだったりして面倒なことがあります。
逆にMacはわかりやすいフォルダにインストールしてくれます。
- 「/Library/Audio/Plug-Ins/Components」 → AU
- 「/Library/Audio/Plug-Ins/VST」 → VST
特にパソコンの知識のない人にとっては、「.dllってなに?」といった余計なことを考える必要がないので楽でしょう。
iPhone, iPadアプリとの連携がスムーズ
最近の音楽制作iOSアプリには面白いのが多いです。
Korg GadgetはiOS, macOSで動く優良DAW(?)ですし、アナログシンセサイザーで有名なMoogもiOS上で動くシンセアプリをいくつも出しています。
こういったアプリは単体でも楽しめますが、DAWでの作曲に組み込むこともできます。
MacはOSとして音楽製作に対応しており、追加のソフトを入れなくてもiOSと連携できます(Windowsだと仮想MIDI通信ソフトが必要)。
Core MIDIやInter-Device Audioのおかげで、Lightningケーブルを通じてmidiやオーディオのやり取りをすることもできます。
見た目がかっこいい&対応アクセサリがおしゃれ
「別にMacじゃなくていいよ」と言いつつ、なんだかんだでMacにしてしまう理由は結局これかもしれません。
Windowsでもスマートな見た目のマシンはありますが、やっぱり「Appleがデザインの流行を作る → 他社が乗っかる」みたいな傾向があるのは否めません。
(アルミ&黒キーボードのノートPCやノッチありのスマホなど)
あと、Mac専用に作られたアクセサリも多いので、サイズ感&デザインぴったりで使えるというのもうれしいです。
筆者が使っている物だと、ケースとスタンドがMac専用品です。
デメリット
スペックに対して値段が高い
これは文字通り、その通りです。
仮にWindowsとMacで全く同じスペックのマシンがあったとしても、ブランドという付加価値でMacの方が高くなるでしょう。
拡張性が低い
「パソコン選びに迷わないからMacは良い」
なんて書きましたが、Macの拡張性が低いのは事実です。
これは、
- 買う前のカスタマイズ
- 買った後のカスタマイズ
の両方に言えることです。
Macの選択肢がWindowsほどたくさんないのは当然ですが、最近のMacはメモリの増設・交換すらできない物がほとんどです。
ノート型のみならずデスクトップ型のiMacでさえ、21.5インチモデルは自分でメモリの増設ができないです。(詳細はApple公式で)。
また、外付けのデバイスの接続という意味では、MacBook ProはUSB Type-Cしか繋がらないというデメリットがあります。
これにはUSBハブや変換ケーブルで対応する必要があります。
さらに、MacBook Proの内蔵ストレージは標準で256GBしかありません。
最近のサンプリング音源は容量が半端じゃないので、256GBは致命的に少ないです。
しかしこれをカスタマイズで多くしようとすると軽く数万円は飛んでいきます。
なのでストレージに関しては、以下の記事でも書いたように、外付けSSDを検討したほうがいいと思います。
使えないフリープラグインが多い
特に初心者のうちはお世話になることも多いフリープラグイン。
しかし、Windowsで使えてもMacでは使えないというものは多いです(その逆はまずない)。
特にWindowsからMacに移行する場合、今まで使っていたフリープラグインが使えなくなる可能性は高いです。
とはいっても、古いプラグインはWindowsですら動かなかったりしますし、最近のフリープラグインのMac対応率は上がってきている気がします。
一部のDAWが使えない
LogicがMac専用なのと同じように、Windows専用のDAWも存在します。
代表的なのがBandlab Sonarです。
これは元々Cakewalkという会社が有料で販売していたのですが、別の会社に買収されて今はフリーソフトとして公開されているDAWです。
他にもFL Studioが長らくWindows専用でしたが、最近になってMacに正式に対応しました。
SonarにもMac対応のウワサはありますし、この点はそこまで気にする必要はないでしょう。
新しいOSに慣れないといけない
もともとWindowsを使っていた人は、macOSという新しいOSに慣れないといけません。
「Macは人間工学的に優れているからすぐに使える!!!」
みたいなことを言う信者も多いですが、そんなことを言っても慣れが必要なことに変わりはありません。
例えば、Macはファイルを開くためにEnterを押してはいけません。
Command + ↓を押さないといけません。
Deleteキーなんてありません。
ファイルの削除はCommand + Backspaceです。
この辺りはパソコンに興味がない人にとってはただのストレスでしかないと思います。
まとめ
いいことだけではありませんが、Macに乗り換えればストレスの少ない音楽制作ができると思います。
ただ、「激重音源を起動しまくってオーケストラを作りたい」とか、「動画編集もしたい」という場合だと、予算との兼ね合いでWindowsにするべき場合もあると思います。
やっぱりネックは値段ですね・・・。