このミックス・音質がすごい!アルバム4選

pile of record 音楽レビュー

「この○○がすごい!」といえるアルバムを紹介するシリーズです。

今回はミックスと音質に焦点を当てたいと思います。

シリーズの他の記事↓
このギターがすごい!アルバム7選
このベースがすごい!アルバム8選
このドラムがすごい!アルバム7選

Gaucho / Steely Dan

最初に紹介するのは言わずと知れたSteely Danです。

しかし、私がここで挙げるのは「Aja」でも「Night Fly」でもなく、なんとなく影の薄い「Gaucho」。

個人的な感覚として、AjaまでのSteely Danは歌ものポップス感が強く、逆にDonald Fagen名義の作品はかなり「前衛的な」音作りに傾倒していると感じます。

どちらも好きなんですが、GauchoはFagenの両極の才能(ポップさと前衛さ)が一番いい割合でミックスされた作品です。

動画の曲「Hey Nineteen」は曲調としてはそれなりにポップですが、アレンジ・音作りは異様に洗練されています。
楽器隊はほぼ「ドラム+ベース+エレピ+ギター」それぞれ1つだけ。
あとはサビのコーラスとボンゴ(?)、ギターソロと地味なシンセリードくらいです。

音数も少なければ、演奏や展開も地味です。
しかし言ってみればスカスカの空間の中に、全てのパートがピッタリと配置されています。

まずスネアの妙な存在感が曲を支え続けます。
Aメロではエレピの演奏の強弱が生々しく収録され、強く弾いた時のアタック感に程よいリバーブが加わっているのがわかります。
左チャンネルのギターは「単音のバッキング」「オブリガード」「コード」などいろんな役割を一本で行っていますが、どの部分もちょうどいい音量・存在感になるように調整されています。

全体的に見ると、「Gaucho」はドライな音質ではあると思います。
しかし、「Night Fly」ほど切り捨てていない。

Night FlyはGaucho以上にいろいろな要素を削ぎ落として作られています。
ドラムの音がやはり顕著ですが、もはやGM音源みたいなペラペラな音質ですよね。

個人的に、Night FlyやKamakiriadは音楽的に「美味しい」部分まで削りすぎだと思います。
逆にAjaまでは詰め込みすぎている印象も受けるので、私としてはGauchoが一番好きなアルバムです。

(余談ですが、Night Flyはリファレンスにするには極端すぎませんか・・・?)

It Won’t Be Soon Before Long / Maroon5

この「It Won’t Be Soon Before Long」は私が今まで聞いたどのアルバムより「迫力」があります。
動画の曲を聞いてもらえば分かりますが、センター(ドラム)もサイド(ギター)も全部が目の前に迫るような音です。

音圧の高い曲にありがちなことですが、リミッターで潰して上げれば上げるほど、サイドはいい感じでもドラムが死ぬんですよね。

逆にある程度個々の音を潰しておかないと、曲全体としてプッシュできません。

「It Won’t Be Soon Before Long」のすごいところは、曲全体としての迫力と、楽器それぞれの旨味が両立しているところです。
もう一度動画を再生してイントロを聞いてみてください。
それなりに音圧があるのに、アコギもドラムもガッチリとした輪郭がありますよね?

日本人は基本的にドラムやトランジェントを軽視しすぎだと思います。
作曲センスが欧米人に劣るとは全く思わないし、私自身は「Cメロ」のあるJ-Popが大好きです。
でも、邦楽のアルバムで「音がすごく良い」と感じるものは一度も聞いたことがありません。

London Calling / Clash

このアルバムはめちゃくちゃ色んな音が入っているのに、非常によくまとまってます。
クリーン系の音ばかり突っ込んで、ここまで全部の音を生かしているのは異常だと思います。

しかも、聞いた印象としても尖ったところがない、すなわちナチュラルです。
悪く言えば無個性ですが、むしろジョー・ストラマーのインスピレーションがそのまま表現されているというべきだと思います。
「どの音が良い」というよりもバランスが良いですね。

ミックスとは関係ないですが、トッパー・ヒードンのドラムは本当に天才的ですね。
タイム感とフレーズセンスがずば抜けてます。
あまり「すごいドラマー」として言及されていないような気がしますが・・・。
(追記: ドラムがかっこいいアルバムの記事を書きました

The Band / The Band

他のアルバムとは違って、これはかなりローファイですね。
しかしかなり作り込まれており、1970年の録音としては相当ハイレベルです。

ビートルズはコンプなんかを多用して「面白い音」を目指していた感がありますが、The Bandはひたすら「良い音」を目指してこのアルバムを作ったという感じがします。
すべての音がクリアに聞こえてきますし、ドラムの生々しさも半端じゃないですね(イントロを聞けば納得していただけるのでは?)。

ダイナミクスレンジもかなり広いです。

1:50~のギターソロからの盛り上がり、今のメディアには絶対出せないですよね?
特に2:00の左チャンネルのサックスなんて、「ちゃんと潰せよ」って言われてオシマイな気がします(彼らもいま活動していたらもっとキッチリさせているはずです)。
そういうわけで、この時代にしか出せなかった音の奇跡を感じます。

まとめ

実際、なにが「良い」音かといえば人それぞれ違うとは思います。
この4枚以外に良い音のアルバムがあれば是非教えてください。