僕は、基本的にギターの弦高は低いほうが好きです。
理由は主に以下の2つです。
- ギターらしい表現がしやすいから
- 弾きやすいから
ただ、当然デメリットもあります。
この記事では、「ギターの弦高を低くするメリットとデメリット」を紹介していきます。
弦高低めのメリット
ギターらしい表現がしやすい
なにをもって「ギターらしい」と表現するかは当然人それぞれですが・・・。
個人的に、弦高を低くすることで次のような「ギターらしい」表現がしやすくなると感じます。
- 「ザラッ」とした音色を活かしたコードストローク
- ビビりの混ざった「ペナペナ」した単音プレイ
- スラップベースでいうプル
ギターは「撥弦楽器」と呼ばれ、「弦をはじく」ことで音を出します。
だからこそ、同じ弦楽器でも「擦弦楽器」のバイオリンや「打弦楽器」のピアノとは全く違う表現ができるわけです。
楽器の歴史には詳しくないですが、少なくとも現代のバイオリンやピアノと比べると、ギターはかなり原始的な楽器に思えます。
ピアノの複雑さは言うまでもないし、バイオリンのような「弓」もありません。
そのへんの弁当箱に輪ゴムをはめて弾けば「ギター」と呼んでも差し支えないでしょう。
そうした「プリミティブさ」ゆえに、「フレットノイズ(ビビり・ゴーストノート)」や「ピッキングノイズ(ブラッシング・ピックスクラッチ)」などが非常に出やすい・出しやすい。
じゃあそれは「悪」か? いや、僕の意見としては「むしろそれがギターの魅力」です。
「音色自体は弦高が高いほうが良いけど、弾きにくいから多少は下げる」
こんな意見もよく聞きますが、「弦高が高いほうが音が良い」って本当でしょうか?
確かにビビりづらくなるし、太い音も出しやすくはなります。でもそれだけが本当に「良い音」?
クラシックの文脈でいえば、最終的にピアノが生まれたことからも分かるように、「楽音のみ(=ノイズ無し)が正しい」のは理解できます。
でも、ポップスはそうじゃない。「気持ちよければ何でもアリ」のはずです。ノイズや倍音が余計なくらい含まれてた方が気持ちいい、という解釈もアリなんです。
そういう意味で、「ノイズ」の出やすい「低い弦高」にはギター独特の魅力があるわけです。
(逆に弦高を高くすることで生まれる魅力も当然あります。)
弾きやすい=疲れにくい
これは一般論ですが、弦を押さえるのに必要な力が少なくて済むので、弦高が低いほうが弾きやすいです。
「弾きやすさ」は「疲れにくさ」と言い換えることもできます。
「長時間弾いていても疲れにくい」というのは、かなり大きなメリットです。なぜなら、練習なんてそんなに楽しいものじゃないから。ツラいのなら、少しでも楽になるようにした方が効率がいい。
もちろん、「高い弦高の音が好きだから、弾きこなせるよう努力する」のもいいですよ。
でも、「高い弦高で1時間」と「低い弦高で1時間30分」のどちらが指を鍛えられるかは微妙なところだと思います。もしかしたら、低い弦高で長時間弾いて、慣れてから少しずつ上げたほうが速いかもしれない。
ギター演奏は「技術」だけじゃなくて「引き出し」も大事だし、無理ない範囲で練習したほうがいいと思います。
弦高低めのデメリット
コンディションに左右されやすい
弦高が高い場合は、多少ネックの状態が変わってもそこまで影響が大きくありません。
でもギリギリまで下げている場合などは、「昨日までビビらなかった音がビビってしまう」ということもありえます。
特にチョーキングの音づまりなんかはわりと致命的ですね。
また、Rが小さい(指板が凸型)ビンテージ系なんかは、そもそも弦高を下げにくかったりします。
この辺りは物理的にどうしようもないですね・・・。
指弾きしづらい
弦高が低いとテンションも下がりがちなので、指で弾いたときに「まとわりつく」感じがします。
もちろんピック弾きでも同じなんですが、個人的には特に指弾きがしづらいです。
慣れもあるでしょうが、この点に関してはやっぱり弦高が高いほうが有利だと思います。
(例えるなら、「ボトルネックは弦高が高いほうが弾きやすい」のと同じくらい「指弾きは弦高が高いほうが弾きやすい」という感じです。)
まとめ
以上は個人的な経験から感じたことです。
僕は12年ギターを弾いていますが、最初の10年くらいはかなり弦高を上げていました。
性格的に強迫観念が強いので、ちょっとでもビビりがあったりすると「間違ってる」と感じてたんですね。
でも、やっぱり弦高は上げすぎると手が痛い。手が痛いとギターが楽しくない。
あるとき「楽しくないなら何のためにギターを弾いてるの?」と思って弦高を下げると、物理的にも精神的にもかなり楽になりました。
しかも、むしろ音も良くなってないか? という感じです。
もともと手が大きかったり筋力が強い人にはピンとこないかもしれませんが、上手く弾けずに悩んでいる人は無理せず弦高を下げてみてもいいと思います。