【初心者向け】エレキギターの選び方

エレキギターの種類って、どう考えても必要以上に多いですよね・・・。

まず見た目が同じ楽器とは思えないくらい違うし、パーツがたくさん付いてるけど役割がよくわからないし・・・。

ギター選びは初心者だけじゃなく上級者でも悩むことです。もちろん上級者はパーツの役割とかは知っていますが、選択肢(=組み合わせ)がめちゃくちゃ多いことには変わりないからです。

ただ経験の長い人は、自分なりの「判断基準」つまり「ギター選びのポイント」を知っているので、それなりに根拠を持ってギターを選ぶことができます。

というわけで、この記事では「ギターを選ぶ際の重要なポイント」をお伝えします。

※機種ごとの紹介は以下の記事で!

店頭 vs. 通販

これはギターの種類とは関係ないですが、初心者にとっては悩みのタネだと思うので言及しておきます。

結論からいうと、できるなら店頭=楽器屋さんで試奏をしてから買った方がいいです。

ジーンズを試着しないとサイズがわからないのと同じように、ギターも実際に弾いてみないとわからないわけです。

もちろん初心者の方には細かいことは判断できないかもしれません。でも、例えば色なんかは見ればわかりますよね? パソコンの画面で見る色と実物では結構違いますし、カタチや大きさも「想像と違う・・・」なんてことになりかねません。

慣れてくると通販でも失敗しづらくなりますが、最初の1本は店頭がオススメです。

新品 vs. 中古

ギターは中古品を買うこともできます。

当然ながら、中古品を買えば、同じギターでも安く手に入れることができます。

しかし、モノによっては状態が悪かったり、保証やサポートがついていなかったりします。

なので、できれば新品を買うようにしましょう。

ただ、ギターに詳しい人が知り合いにいる場合は、買う前に確認してもらうことでトラブルを避けることができるかもしれません。

値段

これはかなり個人的な意見になってしまいますが、2万〜5万円程度のギターがオススメです。

こういうと身も蓋もないかもしれませんが、エレキギターはそこまで繊細な楽器ではないので、それくらい払えば最低限のものが買えます。

特に初心者のうちは「自分はどんなギターが欲しいのか」がよく分からないと思います。その段階で、例えば数十万のギターを買ってしまうと、あとで「別のにしておけばよかった・・・」となってしまう可能性があります。

これについては以下の記事で詳しく書きました。

見た目

シンプルに「見た目」は重要です。

「見た目」とは基本的に「カタチ」と「色」のことですね。

エレキギターには本当にいろんなデザインがありますが、なぜでしょう?

1つの理由は、エレキギターは最終的に「アンプ」で音を増幅するので、楽器自体のカタチに囚われなくていいからです。

逆にアコギやバイオリン、管楽器なんかは、モデルによってカタチが全然違うなんてことはほとんどありません。

なぜなら、アコースティック楽器は、楽器本体が「鳴る」ことが超重要で、デザインを奇抜にする余裕がないからです。

こう考えると、いろんなデザインを楽しめるエレキギターで、自分の好きな見た目のモデルを買わないのはもったいないと思いませんか?

そもそも、あなたがエレキギターを始めようとしたきっかけは、たぶんミュージシャンの演奏を見て「かっこいい!」と感じたからだと思います。それなら、見た目が気に入らないギターをムリして使うのは本末転倒です。

ここからは細かいパーツの違いなんかも取り上げていきますが、その「かっこいい!」という気持ちは忘れないようにしてください。

ソリッド vs. ホロウ

とはいえ、ギターのカタチが音や弾きごこちに全く影響を与えないわけではありません。

エレキギターには大きく分けて「ソリッドボディ」と「ホロウボディ」があります。

ソリッドボディ
ホロウボディ

Thatrhythmman [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

見てわかるように、「ソリッドボディ」はかなり薄っぺらいです。

逆に「ホロウボディ」はアコギとほぼ同じような形状です。

ここまでカタチが違うと、音や特性は当然異なってきます。

主な特徴は以下のとおりです。

ソリッドボディの特徴

  • ボディが小さくて薄いため、持ち運びやすい・演奏しやすい
  • 頑丈
  • はっきりめの音質
  • ホロウボディよりもスタンダード(使っている人が多い)

ホロウボディの特徴
  • ジャズ・フュージョン系によく合う(例外はめちゃくちゃあるけど)
  • 柔らかめの音質
  • ハウリングしやすい
  • セッティングがしづらいモデルも多い

ここに書いたことはあくまでも一例なので、「ソリッドだから・ホロウだから絶対こうだ!」というわけではありません。

例えば「ホロウボディはジャズ系に多い」と書きましたが、ビートルズやザ・フーみたいな古いロックバンドは普通に使っていました。

さらに、「セミホロウ」といって、「ソリッドとホロウの中間」のモデルも存在します。むしろ、完全なジャズ以外だとセミホロウの方が圧倒的に多いです。

「よくわかんないけど、どっちにすればいいの?」という人もいると思うので答えますが、ロックやポップスなどの「ふつうのバンド系」をやりたいんだったら、とりあえずソリッドボディにすればいいと思います。

もちろんホロウ系でも構いませんが、その場合でも「セミホロウ(セミアコ)」にしておくのが無難です。

ピックアップ

ここからはギターの細かいパーツの話になっていきます。

音に一番影響を与えるパーツといえば、やはりピックアップです。

この3つがピックアップ

Lubbad85 [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

この部品で弦の振動を拾い、アンプに送って音を出すわけです。

いわゆる「マイク」と全く同じものです。

マイクといえば、歌手のレコーディング風景なんかを見ると、デカくて値段の高そうなマイクが置いてあったりします。実際に数十万以上する場合がほとんどなんですが、なぜ高いかというと、当然マイクがそれだけ重要だからですよね。

ギターも同じで、ピックアップの種類で音が激変します。

ピックアップには「シングルコイル」と「ハムバッカー」の2種類があります。

シングルコイル

ハムバッカー

シングルコイルの特徴
  • 音が「シャキッ」としている
  • ノイズが多い
ハムバッカーの特徴
  • 音が「モコッ」としている
  • ノイズが少ない

音の特徴は言葉では伝わらないと思うので、この動画で確認してみてください。

どうでしょう? シングルコイル搭載の「ストラトキャスター」と、ハムバッカー搭載の「レスポール」では音が全く違うのがわかると思います。

コードをジャカジャカしている演奏は、どちらかというとシングルコイルの方が「それっぽく」聞こえますが、その次のソロ演奏では、ハムバッカーの柔らかさが活きています。

このように、「どういうプレイをするか」によって、向いているピックアップは変わってきます。 (もちろん、「向いている」と感じるかどうかは個人差がありますが・・・)

また、ノイズも重要な要素です。

エレキギターの「素の音」、つまりクリーントーンの場合は気にならないんですが、音を歪ませるようになると途端にノイズが目立ってきます。

次に「歪み」と「クリーン」について解説します。

歪み重視 vs. クリーン重視

「歪み」と「クリーン」とは音色の種類のことで、同じギターでもセッティングによって使い分けることができます。

これも動画を見たもらった方が速いですね。

Clean=クリーン Distorted=歪み

さきほど「シングルコイルはノイズが多い」と書きました。ここでいうノイズとは、「弾いていないときにも発生する『ブーン』というノイズ」のことです。

この動画くらい歪ませた場合、シングルだとかなりノイズが出るはずです。もちろんギター本来の音をかき消すことはないですが、それでもかなり邪魔になります。

なので、強く歪ませる必要のあるジャンルをやりたいなら、ハムバッカーにした方がいい場合があります。

じゃあ「シングル=クリーン、ハム=歪み」なのかというと、そこまで単純ではありません。例えばジャズギターはハムバッカーのことが多いですし、ハードロック系でもシングルコイルを使う人はいます。

結論としては、「自分が1番メインで使う音色を気持ちよく出せるか」が重要です。

実際には、ジャンルごとによく使われているギターはある程度決まっているので、それに従うのが一番間違いないと思います。

ネックの太さ・スケール

ピックアップは「音」に関するものですが、初心者にとっては「弾きやすさ」の方が気になるかもしれないですね。

ギターは種類・個体差によって弾きやすさはかなり違います。特に違いが出るのは、やはり弦を押さえる方の手です。

ネックの太さ

基本的にはネックが細めの方が弾きやすいはずです。

特に初心者のうちは、押さえる力も関節の柔らかさもないので、少しでも負担が少ないほうが弾きやすいと思います。

とはいえ手がすごく大きい人もいるし、好みもあります。

自分が弾きやすいかどうかは、やっぱり試奏して「しっくりくる」かどうかで判断しましょう。

スケール

音楽理論のスケールとはまた別で、要は「フレットとフレットの間隔の広さ」のことだと思っておけばいいです。

一般的なギターで採用されているスケールはおもに次の3つです。

ロング: ストラト、テレキャス、ジャズマスなど

ミディアム: ギブソン系全般

ショート: ムスタング、ジャガーなど

ロングはフレット間の距離が長く、ショートは短いです。

フレット間の距離は短いほど良さそうですが、必ずしもそうではありません。

なぜなら、フレット間の距離は「ハイフレット=ボディに近いフレット」になるほど狭くなっていくからです。

ショートスケールのギターの場合、ハイフレットはかなり間隔が狭くなってしまうので、ちょっと手が大きい人だとかなり窮屈に感じると思います。

筆者の手は男にしては小さい方ですが、それでもショートスケールはあまり好きじゃありません。

手の小さい女性ならショートスケールはちょうどいいかもしれません。ただ、女性でもロングスケールを弾いている人はたくさんいるので、本当に人によると思います。

そもそも、ベースなんかと比べたらギター自体が小さいので、「自分は手が小さいから絶対ショート」と決めつける必要はないです。

最初はスケールは度外視して選んでみてもいいんじゃないかと、個人的には思います。もし不安なら小さめを選びましょう。

アームあり vs. なし

「トレモロアーム」とか、単に「アーム」と呼ばれるパーツです。

実際にどうやって使うかは下記の動画の通りです。

「なにをやっているのかよくわからない・・・」という人もいるかもしれませんが、「アームを押し付けると音が下がる」「引き上げると音が上がる」というだけです。

どのギターにもアームがついているわけではありません。

問題は、「自分にアームが必要なのかどうか」です。

例えばジミヘンやジェフベック、またはメタル系が弾きたい人だったらアームは必須です。逆に、メロコアだったらおそらく必要ないはずです。

さらにアームにも種類があるため、アーム付きならなんでもいいというわけではありません。上の動画のような派手なプレイは、例えばジャズマスターのアームでは厳しいです。

この記事ではアームについて深掘りできないので、詳しく知りたい方はググってみてください。

好きなギタリストが使っているかどうか

いろいろな要素を挙げましたが、おそらく1番手っ取り早くて正確なのは、「あなたが好きなギタリストが使っているギター」を買うことです。

ジャンル的にも問題はないはずですし、なによりも「かっこいい」と感じられると思います。こまごましたウンチクも、結局はシンプルな感情に勝てないものです。

検討しすぎて迷ったら、シンプルに「これだ!」という感覚に従ってみるのも悪くないと思います。

まとめ

ここで取り上げたもの以外にも、エレキギターの「構成要素」はたくさんあります。

たとえばボディやネックの材質なんかも重要といわれますが、マニアックなので取り上げませんでした。

しかし、初心者の方が最初の1本を選ぶなら、この記事で紹介したことくらいで十分のはずです。

機種ごとの紹介は以下の記事でしております!