この曲のパラデータ(MIDI含む)を公開します。
特に使用制限はなく、自由に公開・再配布してもらって大丈夫です(クレジット表記や連絡をしてもらえたら嬉しいですが・・・)。
この記事では、この曲がどんなふうに作られているかを解説します。
コンテンツはこんな感じです。
- コード進行
- 楽器ごとの解説
- 筆者の作曲の流れ
コード進行
Am7
【Bメロ】
Dm7 G7 CM7
B7 E7 Am
Dm7 G7 CM7
B7 Baug7
【サビ】
CM7 B7 Em7 Dm7
G F#7 Bm7 Am7
CM7 B7 Em7 Dm7
G F#7 CM7 B7
G F#7 CM7 C#M7
【間奏】
CM7 C#M7
イントロ&Aメロ
ここはコード「進行」は無いですね。笑
ギターで偶然このコードを弾いた時、「曲ができそう」と思ったのが『百万年』のきっかけですね。
『百万年』の象徴的なコードです。
コードが展開しない分、ギター・エレピ・オルガン・ベースを全部使って退屈しないようにしてあります。
Bメロ
イントロ〜Aメロから打って変わって、II-Vを多用した「進行感」のあるコード進行にしました。
この曲のキーは多分Aマイナーなんですが、ドミナントモーション(?)の強い進行感が好きなので、ダイアトニックに無い7thコードも多用してます(B7・F#7など)。
サビ
「 CM7 B7 Em7 Dm7 」と「G F#7 Bm7 Am7 」では、進行としては全く同じで、ズラしてるだけですね。
最初のコード(C・G)をIとすると、「I VII7 IIIm7 IIm7」です。
理論的にどう解釈できるのかはよくわかりませんが・・・こういう進行も作れるんですね(違和感あります?)。
半音下の7thに落ちると、ぜんぶ椎名林檎の丸の内サディスティックに聞こえますね。
ギター
アンプシミュレータ: Bias Amp
ギター: フェンダージャパンEシリアル期ストラトキャスター
私はギタリストかつ歌がヘタなので、大抵ギターをメインにして作曲してます。
コード進行のところでも書いたように、『百万年』はイントロのコード&フレーズからアイデアを膨らませて作った曲です。
これに加えて、右チャンネルでは単音やアルペジオでアクセントを付けてます。
アンプセッティング
Steinberg UR44に直挿しでライン録りしています。
左チャンネル:
右チャンネル:
ストラトのクセなのか私のクセなのかわかりませんが、どうしても中域が不足しがちなので、アンシミュの後段にEQで500-1000Hzあたりを緩やかにブーストしてます。
右チャンネルは、イントロ・間奏だけリバーブをかけています。
最後に、左右ともAbletonのグループ機能でまとめて、リミッターで少し潰してます。
ギターセッティング
私はストラトを使っていますが、実はセンターがダミー、つまり配線されていません。
セレクターも3Wayです。
どういうことかと言うと、要はテレキャスと同じ配線になっています。
しかもリアもフロントも単体ではほぼ使わず、基本はフロント+リアのミックスだけで弾きます。
この曲も全部フロント+リアのミックスサウンドです。
弦はアーニーボールのスーパースリンキー、弦高はベタ付けです。
ベース
MODO BASSを使っています。
↓詳細は以下の記事で紹介しています↓
音作り
モデリングは60年代モデルのプレシジョンベースです。
ピック弾きで、DIオンリー(アンシミュは通してない)です。
「音をまとめる+アタック感を出す+音を汚す」目的で、WavesのRenaissance Compressorで潰してます。
フレーズ
最新の音源とは言っても、やっぱり生ベースのようにストレートなフレーズで攻めるのは難しい感じですね〜。
ルート弾き:
ただ、Modo Bassはモデリング音源なので、スライドはかなり自由度が高いし打ち込みが楽です。
スライド有りのフレーズ:
ベースの打ち込みで気をつけているのは、Midiノートの長さですね。
上の「スライド有りのフレーズ」みたいなフレーズの場合、音の長さを適当にしてしまうと、締まりのない演奏になりがちです。
ドラム
BFD3を使っています。
音作り
いちおうパラアウトして個別に処理しています。
ただBFDを買って間もないのもあり「オーバーヘッドとルームが見つからない!」という感じだったので、この曲ではそこまで細かく調整してません・・・。
マスターにはAbleton付属のDrum Bussを挿してます。
マスターエフェクト無し:
マスターエフェクト有り:
(・・・歪ませ過ぎ?)
フレーズ
フレーズは・・・わりとフィーリングというか適当に作っています。
でも「手足が5本以上ある」とか「不可能じゃないけど難しすぎ」みたいなのは避けるようにしてます。
キックに関してはベースとの兼ね合いがあると思いますが、私はドラム優先で作っているので、後から打ち込むベースがキックに従うことが多いです。
フィルの作り方については以下の記事で詳しく書いてます。
エレピ(ローズ)
Scarbee Mark Iを使っています。
音作り
「Joe’s Jam」というプリセットほとんどそのままです。
ただ、Polyvarse MusicのWider というプラグインでステレオ感をすこし広げています。
ギターとかキーボードって、けっこうパンニングに悩みますよね?
私は曲によっては「ギター:左、エレピ:右」という配置にすることがあるんですが、これだとキーボードが目立つんですよね・・・。
知識も技術もないので、鍵盤類はできるだけ粗が目立ちにくいようにステレオに配置してます。
あとScarbeeはわりと線が細いので、これもEQで中域を補正してます。
フレーズ
上にも書きましたが、粗が目立つような難しいフレーズは入れてません。
私の中でのエレピの役割は、エレキギターではカバーしきれないような「プラスαのコード感」を出すことです。
土台となるコードはすでにベースとギターが作っているので、エレピはこんな感じで「なんかオシャレ感」のある響きになるように、適当に打ち込んでます。
オルガン
Native InstrumentsのVintage Organsを使っています。
音作り
ドローバーのセッティングはこんな感じです。
正直いって、「LowerとUpper」の違いが何なのかはよくわかってないのですが・・・。
この曲では、「スネアがアホみたいな音になる」と評判のRough Riderをオルガンにかけています。
どうもアタックが弱くて気に入らなかったんですよね・・・。
コンプ無し:
コンプ有り:
あと、オルガンはロータリースピーカーの「Slow-Fast」の切り替えがめちゃ重要だと思います。
『百万年』のブレイク(?)のあとでもこの切り替えをやってます(「Fast → Slow」で急激に遅くなってる気もしますが・・・)。
フレーズ
ピアノ系は難しいですが、オルガンはとりあえず単音でリードを弾いてもおかしくならないので便利ですね。
『百万年』ではサビでオルガンのコードが鳴ってます。
最初の方は音数少なめ、だんだん盛り上げるようにしています。
キーボーディストが聞いたらめちゃ違和感あるかもしれません・・・。
でも、別に曲中では気にならないでしょ?
ボーカル
メロディは全部鼻歌で作りました。
正直メロディ作るのはめちゃ苦手です・・・。
別にアイデアが浮かばないわけじゃないんですけど、「だから何?」みたいなメロディしか出ないんですよね。
なのでここではあんまりなんも書けません!
誰か才能を分けてください。
サビガラ式作曲の流れ
最初は録音しない
パソコンに向かってDAWを開くのは「曲がカタチになってから」にしています。
何故かというと、DAWで録音したりMIDIを打ち込んでしまうと、「フレーズが固定される」ので曲を発展させづらいんですよね。
いきなりDAWを開いて作り始めると、こんな落とし穴(?)にハマりがちです。
→ いつまで経っても「とりあえず」レベルから進歩しない
コレ、私だけですか?笑
人間、楽な方に傾きがちで、「すでにある」ものを変えるのに体力をすごい消費するんですよね。
でもある時「じゃあ録音しなければいいじゃん」と気づきました。
ギターでもピアノでも何でもいいですが、楽器が弾けるなら、弾き語りである程度まで作った方がいいと思います。
録音しないことで、「すでにある」フレーズにそこまで捕らわれず、自由にアイデアを出すことができます。
コードから作る
私はコードから作ります。
「メロディが降ってくる」なんて今までに一度も経験したことがありません。笑
そもそも歌が苦手なのも関係あると思います。
でも、メロディに執着(?)があまりない替わりに、和音にはこだわりがあるので、コード進行を曲のアイデンティティにしています。
人によってはメロディだったりベースラインだったりすると思いますが、とにかく「コノ曲は『コレ』が無ければコノ曲じゃない!」という要素から作ればいいんじゃないでしょうか。