「作曲をしよう!」
と思って作曲ソフトを買い、MIDIキーボードを買い、実際に作りはじめたけど・・・
数時間経ってもなにもできない!!
週末を全部潰したのにゴミみたいな曲(と呼んでいいのかも怪しいモノ)しかできない!!
こうなってくると、本気でみじめというか、自分の存在価値って何? みたいな気分になりませんか?
出来の良い脳みそもコミュ力も持ってないから、ちょっと人とは違うクリエイティブなスキルで差をつけたかっただけなのに、結局ここでも「才能」の壁に阻まれてしまうのか・・・って感じです。
まあ確かに、すごい人はすごいし、才能の差は越えられないというが実際のところだと思います。
でも、「才能がないからゴミみたいな曲しか作れない」というのはよく考えるとおかしくないですか?
例えて言うならこんな感じです。
この人が5kmすら走れないのはどう考えても体型と運動不足のせいですよね。
「ジョギングで5km完走」なんて(障害さえ無ければ)努力次第で誰でもできることであって、才能がどうのこうのという話じゃありません。
1ヶ月目は体力もないし膝が痛くなってしまうかもしれませんが、諦めずに少しずつ続ければ5kmの壁は越えられるはずです。
作曲もそれと同じで、「やらないとできない」けど「やればある程度はできる」ようになります。
もちろん「才能の壁」は存在しますが、それはマラソンでいうところのオリンピック選手の領域です。単に42.195kmを完走するだけなら、おそらく才能は必要ありませんよね。
この例えで何が言いたかったかといえば、「今まで作曲の経験なんてゼロだったのに、すぐに『才能』なんて言葉を持ち出すのはおかしい」ということです。
「5km走れる才能」とか「自転車に乗れる才能」なんてものが存在しないのと同じように、「それなりの曲を作れる才能」も存在しないわけです。
というわけで、「じゃ、お互いがんばって曲を作ろうね!」で終わってもいいんですが、僕も一応10年くらいDTMやギターで作曲をしてきたので、「曲が作れない!」という気持ちはよくわかります。
始めのうちは本当に自己嫌悪に陥ったし、当然いまでも「10年もやってるのにこのレベルかよ・・・」と思うことはしょっちゅうあります。
でもその中で克服してきた弱点もあるので、僕なりの「曲が作れないときにどうすればいいか」をこの記事でシェアしたいと思います。
ちなみに僕のいまのところの最新曲はこれです。
これを聞いて「ゴミ!」と思う人はたぶん僕よりレベルが高いので、これ以上読むのは時間の無駄になってしまうと思います・・・。
でも、ちょっとでも「この音いいな」とか「メロディが好きかも」と思う部分がある方は、この記事が曲作りのヒントになるかもしれません。
- メロディが作れない
- コード進行が作れない
- アレンジができない
この3つの悩みをどうすれば解消できるか、僕なりに考えたことを経験を踏まえて書いていきたいと思います。
(※ひとくちに「作曲」と言ってもいろいろあるので、この記事でいう「曲」は「一般的な歌モノ」を指すということにします。)
メロディーが作れない
まずは鼻歌で作る練習をするべきだと思います。
DTMで曲を作っている人の中には、「まずドラム&ベース&コードを打ち込む→メロディを載せる」というやり方の人もいます。
もちろん「これは間違い!」などというつもりはありませんが、僕的には「意外と難しい作曲法」なんじゃないかと思います。
なぜなら、「曲の中心」はメロディだからです。メロディが一番重要なら、なによりも先に作る必要があります。
メロディを後回しにすると、「曲の中心」を作ろうとしたときに、既存の伴奏に動きが制限されてしまうことになります。
上記のやり方で作ったトラックにいざメロディを載せようとしても、コード進行をなぞるだけのつまらないメロディになりがちです。
さらに悪いことに、「メロディ=曲のコア」無しになんとなく作った伴奏は、そもそも魅力がなかったりします。
これを避けるためには、やっぱり「まず鼻歌から」が王道だと思います。
といっても、完全に鼻歌だけで作るのはそれこそセンスが要るので、コード進行+鼻歌がやりやすいはずです。
それも、できれば打ち込みや録音をしない、いわゆる弾き語りが理想的だと思います。
なぜなら、DAWに打ち込んだり録音した素材は、それで固定されてしまうからです。逆に弾き語りの場合、毎回弾いて歌わなければいけないので、アイデアが毎回少しずつ変化していくはずです。
実際に歌うことで、いわゆる「歌心」のあるメロディが作りやすいという利点もあります。
「楽器が弾けないからDTMやってんだけど!」という人は、バックトラックを作りこむ前に鼻歌でメロディを載せてみるのがいいと思います。
僕自身はずっと「トラックをひたすら作り込む→メロディを載せる」というやりかたで作曲していたんですが、この方法にはかなり限界を感じました。
曲全体のつながりや展開が不自然になりがちだし、「いまいち何がやりたいのかわからない曲」になってしまうことが多かったです。
しかし、「ギター弾き語りでメロディ&コード進行を全部作る→DAWでアレンジする」方法に切り替えたところ、かなり満足いく曲を作れるようになりました。
しっかりと腰を据えてメロディを作るなかで曲のイメージがしっかり固まるので、DAWでの作業の段階で迷走することも少なくなりました。
DTMでは「作曲、アレンジ、ミックス、マスタリング」の行程を1人でこなす必要があり、あっちこっちに目移りしがちです。ある程度は作業行程を切り分けた方が良い結果になることが多いと思います。
コード進行が作れない
誤解を恐れずにいうと、「コード進行は自分で考えようとしてはいけない」です。
特に初心者のうちは、「どの曲からコード進行をパクろう」くらいの気持ちで考えた方がいいと思います。
「盗作はダメだろ!」と思うかもしれませんが、同じコード進行の曲なんてこの世にはたくさんあります。例えば、「パッヘルベルのカノン」のコード進行は「カノンコード」なんて呼ばれるくらい、J-POPの定番になっています。
「それでも自分でコード進行を考えたい!」という気持ちはものすごく良くわかります。僕もそう思っていました。
でも、「自分で考えたつもり」のコード進行も、実は以前コピーした曲から自然に出てきたものだったりします。
そもそも、世の中にあふれている「良い」コード進行を全部知っているのか? という話です。知ろうとすればグーグル検索で知れるコード進行を全部学んだわけでもないのに、自分で生み出そうとすることに意味があるんでしょうか?
「コード進行を自分で作ったかどうか」だと、それは「才能」の話に聞こえます。でも実際は「コード進行を知っているかどうか」が問題であり、それは「努力」の話です。
「自分には才能がないから作曲できない」というのはおかしい、と冒頭に書きましたが、まさにこれです。
「定番のコード進行をほとんど知らない」ような状態では才能も何もありません。仮に天才が自分でコード進行を生み出せたとしても、凡人は「過去の天才」の作ったコードを使って対抗すればいいだけです。
ちょっと脱線してしまいますが、作曲に限らず、なかなか行動できない人の特徴として、「天才みたいにやりたい」というのがあると思います。
そういう人は「曲を作りたい」のではなく「天才でありたい」という願望が強いだけで、作曲という行為がそれを叶えてくれるのを期待しているように思います。
本当に作曲がしたいのなら、「天才みたいに作曲」しようとするのではなく、「凡人でも何でもいいから作曲」しようとするべきだと思います。
アレンジができない
ドラム
ドラムのフレーズは他の楽器よりも「常套句=テンプレート」的なパターンが多いので、まずは作りたいジャンルをよく知る必要があると思います。
単純な例でいえば、「ロックなら8ビート」という感じです。しかしそこから掘り下げていけば、「ビートルズ風のクラシックロック」なのか「ハイテンポなパンク系」なのかで全然違います。
もちろん「テンプレートを知る」ことは全楽器で共通で大切ですが、「ドラムのパターンが曲のジャンルを決める」というのは言い過ぎではありません。
なので、「こういう系の曲が作りたい!」というイメージが頭の中にあるのなら、それにピッタリ当てはまるような音楽がどういう「ジャンル」と呼ばれているのか調べて、そのジャンルでよく使われているドラムビートを真似するのが手っ取り早いはずです。
ベース
「ルートが基本」というのはどのジャンルでも共通です。
(理論的な細かい話は省きますが、ルートというのは、例えば「Cならド」「Amならラ」のことです。)
正直言って、ベースの「フレーズ」がカッコよくなくても曲は成り立ちます(ゴリゴリのクラブ系はまた別ですが・・・)。
もちろんベースがいい感じに動いてる曲はすごく魅力的です。でも、ベースの代わりに別の楽器を動かしても問題ないわけです。
「ルートばっかり鳴らしてるとダサいんだけど・・・」という人は、もしかしたら音色が良くないのかもしれません。
チープな打ち込み音源でひたすらルートを弾いていると、いわゆる「マシンガン」になってしまうため、どうしても不自然になりがちです。
「打ち込みを工夫する」「EQやコンプを工夫する」「良い音源を買う」「いっそ生ベースにする」などの対策でかなり良くなると思います。
ウワモノ
「ウワモノ(上物)」というといろんな意味がありますが、ここでは「ドラム・ベース以外の楽器類全部」を指すことにします。
ウワモノを重ねていく際に気をつけた方がいいことは、やっぱり「リスナーを楽しませる」ことだと思います。
初心者のうちは楽器ひとつひとつのアレンジで精一杯になってしまうので難しいかもしれませんが、やっぱり「スカスカ」のアレンジは聞いていてつまらないです。
めちゃくちゃ細かいところにこだわりすぎるより、アレンジは「リスナーを飽きさせない」ことを一番に考えるべきだと思います。これは僕自身の傾向だったんですが、そこまで経験値のない人が玄人ぶって「空間を活かす」ようなアレンジをすると、ただ単に退屈な曲になってしまいがちな気がします。
「リスナーを飽きさせない」ためには、「サビでは楽器やコーラスを増やして盛り上げる」とか、逆に「静かなパートを作る」ことによって、曲に「メリハリ」をつける必要があります。もちろん、ドラムやベースのフィルインも大切です。
あまり「芸術性」みたいなことばかり考えすぎると、単なる自己満足みたいな曲になりがちです。
まとめ
ちょっと精神論みたいな部分も多かったかもしれませんが、僕が「気づけてよかった!」と思っているところなので、ちょっとでも参考になったら嬉しいです。
自分には運動の才能がないんだ・・・。