Steinberg UR44を使いはじめてから1年ほど経ったので、使用感をレビューしたいと思います。
単純に「良い点」と「悪い点」のみに絞って書いていきます。
Steinberg UR44の良い点
高機能性とモバイル性のギリギリの両立
充実した入出力と可搬性を完璧なバランスで両立。UR44は、バンドレコーディング、ライブから制作まで、幅広い用途に応えます。
これはUR44の公式サイトの文ですが、どうも私はyamahaの想定する典型的な顧客の1人だったようです・・・。
私がこの製品を選んだ理由はこんな感じです。
「家ではギターとベースとマイクと、あとハードシンセもいくつか繋げたい!」
「でもたまにはスタジオに持ち込んでボーカルを録ったり、せっかく入力数に余裕があるからドラムも録音したい!」
そして、1年間使用してみて、その用途としてはかなり満足度が高いと感じています。
入力が6chなのはスペックにある通りですが、サイズ感や重量も持ち運びが十分可能なレベルです。
実際にドラムやボーカルの録音のために使用しましたが、Macbook Pro 15 + UR44くらいならカバンに入れて電車で移動できる重さです。
ヘッドフォン端子が2つ
これはそこまで意識していなかったのですが、ヘッドフォン端子が2つあるとレコーディングに便利です。
人によっては、リハスタにラップトップとインターフェイスを持ち込んで録る、という方も結構いると思います。
そういうときにヘッドフォン端子が1つしかないと、「自分と奏者でヘッドフォンを交換する」か「奏者にヘッドフォンを渡して、確認は据え置きのスピーカーでする」の2択になると思います。
こういうのは死ぬほど効率が悪いので絶対にやめたほうがいいです・・・。
ただでさえ時間が限られているレコーディングなので、効率的なセットアップができるUR44は便利です。
DSPエフェクトが便利
UR44はDSPを内蔵しているため、パソコンのCPUの力を借りずにエフェクトをかけることができます。
ルーティングやエフェクトの操作は下記の画像のような専用ソフトで行います。
うれしいのはギターアンプシミュレータを搭載していることです。
エレキギターの録音って、できればアンシミュを通した音をモニタリングしながら録音したいですが、DAW上でやるとどうしてもレイテンシが気になるんですよね。
しかしDSPならほぼゼロレイテンシでアンプの音を聞いてレコーディングできます。
音質もモニター用としては必要十分で、モデリングも複数収録しています。
アンプだけでなく、リバーブも搭載しているのでボーカリストにもうれしいですね。
エレキギターの録音については下の記事でも触れてます。
デザインがカッコいい
こんなのは本当に好みの問題ですが・・・。
変に丸っこくなく、逆に工業製品っぽすぎもせず、シンプルで実用的なデザインですよね。
YAMAHAのスピーカーに近いミニマルさがカッコいいと思います。
筐体が頑丈
プラスチックな感じは一切なく、金属製のソリッドな筐体です。
もっと軽くすることもできたんでしょうが、安心感を重視したという感じですね。
(持ち運びやすさは多少犠牲になっていますね・・・)
UR44の悪い点
バスパワー非対応
UR44はACアダプタでの駆動が必須です。
つまり、アダプタを忘れて家を出ると、その日のスタジオの予定が「パー」になります。
これも安定した電源供給を優先するというyamahaの判断なのでしょうが、世の中にはバスパワー対応の機材が多いため、ぼんやりしていると家にアダプタを置いてきてしまう可能性が結構あります(私も一度レコーディングの日に忘れてきたことがあります・・・)。
これは結構な弱点ですね〜。
バスパワーが必須という人は小型モデルのUR22を買いましょう。
あくまでも「ギリギリ」の携帯性
上では良い点として「高機能性とモバイル性のギリギリの両立」を挙げましたが、わざわざ「ギリギリ」と留保をつけたのは理由があります。
この記事ではスタジオに持ち出すことにフォーカスをしているので、この機種が「とても持ち運びしやすい」ように思われた方もいるかもしれません。
確かに「持ち運びやすい」のですが、それは「『6chも入力があるにしては』持ち運びやすい」という意味です。
「家でもスタジオでもせいぜい2chあれば十分」という方は、これよりも軽くてバスパワーに対応している機種を選択するべきでしょう。
LEDがうっとうしい
電源がパソコンと別なので、パソコンがスリープしていてもLEDが点きっぱなしになります。
ただ点いてるだけならまだ良いんですが、点滅します。
これが、夜寝るときに非常にイラつきます。
白色の高輝度LEDを使用しているので、マスキングテープで軽く覆うくらいでは平気で突き抜けてくるんですよね・・・。
どういう人がUR44を買うべきか
買うべき人:
- 自宅制作やスタジオ、ライブでフレキシブルに色んな機材を駆使したいアーティスト
- 家で作曲はしないが、スタジオで高音質なデモを自分で録りたいバンドマン
こういう方は多チャンネルをフル活用できると思います。
買うべきでない人:
- ソフトシンセで完結させているコンポーザー
- ライブがメインだが、たまにスケッチ用の録音がしたいバンドマン
こういう方は入力数を絞って高音質、または低価格を目指した機種を選んだ方がいいと思います!
姉妹モデルのUR22 mkIIならバスパワーにも対応しています。
まとめとしては、
自宅での制作用とモバイル用を専用で買う余裕がなく、
「一台でどちらもこなしたい」
という汎用性を求めている方におすすめです。